【コラム】チョコレートの話とbean to bar

      2017/03/23

チョコレート界隈がにぎやかです。

 

【bean to barとスペシャリティコーヒー】

bean to barの定義はカカオ豆(bean)から板チョコレート(bar)ができるまでの全工程(選別・焙煎・摩砕・調合・成形)を管理・製造、つまり全行程を一つの工房で行うことをと認識しています。(bean to barの走りはMASTブラザースやMinimalかもしれません)このチョコレート界隈の流れは、『コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である(http://www.scaj.org/about/specialty-coffee)』とするコーヒー界のスペシャルティコーヒーへの流れとよく似ていています。豆の品質管理・選別をするところから、風味特性を生かすためのプロセスもそっくりだと思うのは私だけでないでしょう。

でもチョコレートとコーヒーって、とてもよく似ています。豆の選別、焙煎(ロースト)、摩砕(グラインド)、調合(ブレンド)、工程がほとんど同じなのですもの。

はまると抜け出せないコーヒー沼。豆をいろいろ試したり、器具を揃えはじめたり、ミルを買い始めたり、コンロで直火焙煎しようとしたり、焙煎機を買おうか悩んだり…。

チョコレートもはまってしまうと、抜け出せない沼にはまりそうです。でも、日本では、コーヒー界隈ほど、道具類が豊富でないのがチョコレート界隈の辛いところ。コーヒー焙煎機をカスタムしたり、フードプロセッサーで摩砕にチャレンジしたり、海外のチョコレートメランジャ―を買ってきたり…、道具の不足を創意工夫で乗り越えてきた、日本のbean to barを実践されているお店には敬意を覚えます。

 

【チョコレートの工程】

チョコレートといえばカカオ豆ですが、どうやったらバー状のチョコレートになるのかスムーズに説明ができなかったので調べました。
日本チョコレート・ココア協会ウィキペディアより)

①カカオの実(カカオポッド)収穫…20cmほどのラグビーボール状の実に30-40の豆が入っている

②カカオ豆の発酵…カカオ豆の香りの成分が醸成される

③カカオ豆の乾燥…水分を6%以下に乾燥(ほとんどが天日乾燥、一部で熱風乾燥)

④カカオ豆の選別(欠点豆や石などの除去)

⑤【焙煎】ニブロースト法の場合…豆を砕き皮など異物を取り除いたもの(カカオニブ)を焙煎する(焼きむらが起きにくい)

⑤【焙煎】ビーンズロースト法…コーヒー豆と同じように焙煎され、(但しコーヒー豆の焙煎温度は230-250℃、カカオ豆の場合は110-150℃である)その後皮と胚芽を取り除き、粉砕しする。(カカオニブ)

⑥【磨砕1】カカオニブに含まれるカカオバターが、磨砕機ですりつぶすことでペースト状になります。これがカカオマス。

⑦【磨砕2】カカオマスにココアバター、砂糖、ミルクなどを混合し、数十ミクロン単位にまで細かく砕く。チョコレートドゥと呼ばれる状態。

⑧【精錬】チョコレートドゥをコンチェ(コンチングマシン)と呼ばれる攪拌機にて長時間かけて精錬する

⑨【温度調整】テンパリングによる温度調整で結晶を安定化させる

⑩【熟成】型に入れ冷却したのち包装し、熟成させることで、さらに結晶を安定化することでチョコレートの完成

 

調べた結果、こんな流れでした。チョコレートになるまでの状態ごとに名前があるのか、初めて知った、のは私だけではないと思いたいです。

ちなみに⑤のカカオニブはスーパーフード(チアシードやキヌアなどの高栄養価食材)のひとつとされているようで、比較的、ニブの状態の商品は手に入りやすいですよ。(ネットで買えます)

 

【自分でbean to barをつくる】

焙煎されたカカオ豆は、ネットで探せば買えるのですが、その後の【磨砕】が困ります。
カカオニブにするために、ミキサーやフードプロセッサーを使うのは想像できますが、ペーストにするには…。そう、すり鉢を使えばできます。
でもすり鉢でがんばれない場合は、メランジャ―を使う手もあります。しかし、メランジャ―は海外製のものばかりで、今のところ日本代理店もないので、個人輸入になります。(お店使いにするには、輸入の際、機械が食品衛生法に規定される製造基準に適合しているか確認のため、届出⇒審査及び検査が必要になりますのでご注意をhttp://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/tp0130-1a.html
メランジャ―の代わりにバイタミックスを使っている人も多いみたいですが、ミキサー系だと空気も入るので、口どけなめらか感に、差がつくようです。

 

【ローチョコレート】

ローフードは「非加熱・生の」のフードの意。生で食べることにより、植物の酵素や栄養素を効果的に摂れる食事法です。チョコレートは普通焙煎したカカオの豆を使いますが、ローチョコレートと呼ばれるものは、カカオををはじめ原材料を加熱せず、48℃以下の低温でつくります。
自作ローチョコレートの動画を見つけたので、参考にどうぞ。
生豆を使うので、カカオニブの状態(皮などを取り除き砕いた状態)にするまでが辛そうです。

 

 - COLUMN, 今さら話